TRPG関係記録置き場

TRPGの忘備録置き場。 セッション日記とか、SSとかごったまぜ。   mixi日記やtwitterだと流れてしまうので、後々読み返す時に不便だなーと思ったので。10年後に読み返して笑いたい。

特命捜査課年末スペシャルの隙間SS

  1. 特命捜査課の打ち上げ時に、
    ・オリバーの盗難事件には八坂との裏があった
    ・直の盗撮に、チーム八坂激おこ
    みたいな流れがあったことに個人的にウケたので、悪魔合体させてSSを書きました。
     

    ※「鈴吹太郎/F.E.A.R.」及び「株式会社KADOKAWA」が権利を有する『トーキョーN◎VA THE AXLERATION』の日記です。

    ************
  2.  
  3. データをニヤけた顔で確認していた男がいた。普段なら無視するところ、通りかかったオリバーは、一瞬、その隊員に視線を向けてしまった。考えてみればそれでよかったのだろう。
    その隊員が確認していたものは。

    「それは、古谷隊員の……隠し撮り、か?」
    「いや、これは。その……。最近、いろんな隊員の画像がな?流行ってんだよ。いい小遣い稼ぎになるし、お前も協力しねえ?」
    「交渉を持ちかける相手は選ぶべきだな。蟻程度の脳みそすら持たない馬鹿には判断が難しいか」
    返事を肯定と受け取ったオリバーは、辛辣な罵倒の言葉を投げつけた。隊員が顔を赤くしている一瞬に、彼の持っていたデータを有無を言わさず消去する。
    「~~~~!」
    「二度目はない」
    何事か怒声を上げる男に、オリバーは背中を向けて冷たい声で応じた。そして、心の中で告げる。

    ―――― 一度目も見逃されたと思うなよ。

     

    「という次第がありました」
    「……」
    「こちらでお膳立てはしますので、対象の迅速な処分を希望します」
    多忙を極める年の瀬に、しかも、自らの与えた指令をこなしているはずのオリバーが、わざわざ自分に連絡をしてきたのはこの要望のためか。
    八坂は少し考えて告げる。
    「古谷家にも緑山にも知らせるな」
    「盗撮ではなく、窃盗の罪を明らかにします。該当者は、既に餌に食いつく動きを見せています」
    大事になったら面倒だというのは共通見解なのだろう。オリバーはすでに自分の私物を『盗ませる』仕込みはしたと言う。
    「いいだろう。どうせならば、特命捜査課を動かせ。誰がどうやって、収束させるか、働きを見たい」
    「……どうやってですか?」
    雑に置いた私物を盗ませるつもりだ。管理不行届を追及させたら逆に面倒だ。
    「緑山の前で大袈裟に探せ。あいつなら細かいことを気にせず、部下に声をかけるはずだ」
    「なるほど、わかりました」
    「直には、それとなく声をかけておく」
    退室しかけていたオリバーは八坂の表情を見ることはできなかった。

    ******

    「直は期待以上でした。それと、ギコえもんは予想以上に柔軟ですね。同じ陣営ならば頼もしいです」
    「有事の際は交渉できるだろう。せいぜいこちら側にいてもらおう」
    手の中で弄ばれているオリバーの万年筆に八坂は目を留める。
    「形見だったんだろう、盗ませて良かったのか?」
    「取り戻せると確信していましたので」
    ご存知でしたか、と少しだけ眉を上げたオリバーはうっすらと笑う。
    「それに、緑山課長をかつぐので、これくらいは」
    「価値が高いものだと、捜査に本腰入れられる可能性が高いからな」
    ウエットな理由を排除する八坂の物言いに、腹心は内心笑うが、口調だけは少しだけ不満を滲ませた。
    「それにしても、機動捜査課の彼に対して、処分が甘いように感じますが」
    「形式上、窃盗事件になっていない以上、手の回しようがない。機動捜査課と揉めるのもごめんだ」
    「まあそうですね」
    感情を乗せない八坂の応答に、オリバーも想定内といったように頷く。そして、すぐに、もう一つ切り出した。こちらが本題だったのだろう。
    「ひとこと警告しておいてもいいですか」
    「任せる」
    この八坂の許可によって、機動捜査課の男の処分は決定した。